1952年にペル・イングヴァール・ブローネマルク教授がチタンの骨結合を発見したことにより提唱された人工歯根(インプラント)は、口腔機能を回復させるための治療法としてスタートした。以来約半世紀、マテリアルの開発 技術の進歩により、今日では(審美領域や矯正への応用など)幅広い領域で臨床応用され,多くの患者や家族、医療界において恩恵を与えてきています。
1990年代からはその応用領域が顎顔面再建領域にまで拡大され、患者の精神的、社会的な復帰を期待しうる治療法として確立されて来ている。さらに、顎咀嚼機能の回復、目・鼻・耳・口等の形態や機能の回復は近年、ロボット工学 医療工学といった分野との連携により更にその応用領域を拡大しつつある。最終的な到達点としては再生医療へと変遷することになるのでしょうが、現時点では置換医療がその最良の治療技術として考えられています。
今回は私の少ないインプラント臨床経験の中から、より論理的に考え治療を行い、機能的、精神的、社会的な回復、ひいてはQOLの向上、若返りの一端となった臨床例を挙げて検討する。この発表が皆様のこれからの研究や臨床のヒント、発見に繋がれば幸いです。
湘南デンタルケアーインプラントクリニック 重原聡