光造形モデルのインプラントへの臨床応用(湘南デンタルケアーインプラントクリニック 重原聡)

 近年の歯科におけるチタン性オッセオインテグレーテッド(骨結合型)インプラント治療は 1969年スウェーデンのブローネマルクらが始めて無歯顎患者に臨床応用して以来40年、患者の不快な義歯からの解放、予知性の高い治療法として現在では数百万人とも言われる人々に恩恵を与えてきました。その間 整復固定用プレートに代表される他科領域への応用 術式の確立やマテリアルの開発から適応症の拡大 顎顔面再建領域へと展開し臨床応用されてきています。
 しかし、より困難な症例に対して適応拡大の為や術式が煩雑になることに伴うリスクや手術時間の延長、埋入位置異常による後の補綴物作製の問題、手指の感覚や経験による術者ごとのばらつきがあることも事実です。骨の限局した部位へ設計通りアプローチし正確に埋入することは安全性 予知性を高める事となるのは周知の事実です。
 近年、より安全に正確に確実にそして患者さんの負担軽減(低侵襲)な治療法として、CTデータをもとにコンピュータシミュレーションをおこない、光造形モデルを作製し 診査診断治療計画の立案 それをもとにガイドを用いてのインプラント埋入の術式が多々報告されてきています。光造形モデルの応用は 症例の3次元的な把握 モデルサージェリー ガイドの作製、設計通りの術野へのアプローチ、確実なインプラント埋入、即時義歯の事前の作製、後の補綴の設計が可能となります。またこのことは、ひいては予知性を高める治療となります。また、一定の基準をもって、より科学的に治療をすすめることは単なる経験談におさまらず、今後のデータの集積、エビデンスの確立の為にも重要と思われます。
 私たちは2005年より桐蔭学園医用工学部川島教授のもと、光造形モデルを応用し多数歯欠損、顎顔面欠損患者に対して咬合機能の回復、再建、QOLの向上の為にインプラント埋入をおこなってきました。少ない症例、経験ではありますが、症例を呈示しその優位性、問題点等報告し、今後の検討、開発の目標にしたいと思います。

湘南デンタルケアーインプラントクリニック 重原聡